「子どもの頃からダンスが大好きで、それ以外の道は考えたこともありませんでした」と話すTomomiさん。都内のダンス専門学校を卒業してすぐにオーディションに合格し、SPEEDのツアーや解散後のソロプロジェクトにもダンサーとして参加。プロダクションに所属し、他のアーティストのバックダンサーや振付、インストラクターやキッズプロダンサーの養成講師を務めるなど、まさにダンスづけの人生を送っていました。

「当時結婚を前提にお付き合いをしていた今の夫が旭市の仕事をしていたので、結婚を機に旭市に移住することになりました。今までのようにダンスを本格的にやりながら、結婚や出産と両立させるのは難しいと思ったので、移住をするときはダンスを辞めると決めていました。でも、今まで生きてきた中でずっとダンスをやってきたので、自分の中ではすごく大きなことで、すぐに『じゃあ行きます！』と決断できなくて。最終的に移住を決めるまで1～2年はかかったと思います。」

本気で向き合ってきたからこそ、きっぱりとダンスを辞めるという、人生を変える大きな決断をしたTomomiさん。結婚や出産で今までとは全く異なる生活になると考え、移住した後で何か別の仕事をするという考えも当時は頭に浮かびませんでした。

出産後、まずは旭市保健センターの母親学級や市が主催する育児サークルなどに参加。育児サークルでは月齢の近い赤ちゃんを連れた保護者と一緒に、月1回ほど毎回10人くらいが集まって、センター職員の方のサポートを受けながら、自分たちで催しの内容を考えたりしてコミュニケーションをとっていたそう。

＊親子の健康づくり
産後ケアや離乳食、子育て学級について。育児サークルはコロナの影響で現在休止中です（2023年3月現在：今後の予定は上記リンクからご確認ください）。

その後は市内に住む3歳未満の子どもと保護者が集える「ハニカム」に通ったり、「conoyubi」という雑貨屋さんで行われる子育て世代向けのワークショップなどに足を運んだりして、人とのつながりが徐々に増えていきます。

＊conoyubi – 雑貨の販売のほか、子育て世代に合わせたさまざまなワークショップを行っており、地元出身ではない方も多く参加されるため、ともすれば孤立しがちな親御さんたちがつながれる場所として親しまれています。

「ハニカムには母親学級とは違う親御さんや月齢の違う子どもたちがいて、新しい輪ができました。先生がいてお遊戯や歌など毎日いろいろなことができるので、保育園に通う前まで、週2回くらいのペースで通っていました。」

「大人になってから友達をつくるのって難しいけど、ここでは気軽に友達になれました。約束をしていなくても、この場所に行けば同じ人にいつも会える、という場所があるのはすごく大事なことだと思います。ここで出会った人たちとは今でもLINEなどでつながっていて、子育ての悩みを相談しあったりと交流が続いています。」

初めての土地で、最初は悩んだり戸惑ったりしながら育児に奮闘していたTomomiさん。今はご自身のお子さんのことはもちろん、ダンススクールの生徒さんや旭市で知り合ったお友達のお子さんなど、周りの子どもたちの成長を見るのが何より楽しいと言います。

「子どもがのびのび育てる環境のあるこのまちで子育てができて、本当によかったと思います。家族で過ごす時間もゆっくりとれるし、まちの人もみんな子どもを見ると話しかけてくれるし、子どもに優しい人が多いと感じますね。」

現在は子育てをしながらダンスインストラクターとして活動していますが、今後はダンスという形だけでなく、何か地域の人とのつながりが持てる場所をつくりたいと願っているそうです。

「自分が最初は寂しい思いをしたこともありますが、もっとこの場所でしかできない、自分も地域の人も楽しみながら交流できる場所があったらいいなあと思うんです。」

具体的にどんな形が一番いいのかはまだ探し中とのこと。自分が抱えていたような寂しさを感じる人がいないよう、大好きなダンスなどを通じて、新たな交流のきっかけになれる場所を生み出したいと考えています。

＊取材・撮影協力：SDフィットネス旭店